シェットランド・シープドッグは、シェルティーのニックネームで親しまれ、
首からお腹、腰から尾にかけて豊かなロングヘアーに覆われた優雅な小型犬です。
面長な顔、アーモンド形のぱっちりした目で、首をスッと立てて歩く姿は
ノーブルですが、白い尻尾の先をユサユサさせて、
小首をかしげて飼い主をじっと見つめる姿には愛嬌もあります。
シェットランド・シープドッグの“シェットランド”とは、
イギリス北部にあるシェットランド諸島のこと。
この犬種の故郷です。シープドッグは牧羊犬のことですから、
シェットランド・シープドッグとは、まさにシェットランドにいた
牧羊犬という意味ですね。
その姿は大きさを除けば、コリーのラフ(長毛タイプ)に大変よく似ています。
しかしシェットランド・シープドッグは小型犬、
コリーは大型犬ですからその違いは一目瞭然です。
それでもシェットランド・シープドッグを見ると、
「小さいコリーだ」という人がいます。
確かに外見は似ていますが、シェットランド・シープドッグは
トイプードルやミニチュアダックスフンドのように、
コリーを愛玩目的に小型化して作出した品種ではありません。
その誕生の歴史にはコリーの血が導入された経緯がありますが、
コリーとは別に、小さな牧羊犬として発達してきた犬種なのです。
シェットランド・シープドッグの性格は、一言で表現すると献身的です。
近年では家庭犬としてブリードされていますが、他の小型犬とは違い、
シェットランド・シープドッグは前世紀まで現役の牧羊犬でしたから、
羊たちの様子に気を配る繊細さと飼い主の指令に常に備える従順さを併せ持っています。
また、たいへん物覚えが良く、ボーダコリーが現れるまでは、
多くの競技会でも活躍していた時代もありました。
また、飼い主の財産である家族や動物、敷地を守ろうとする気持ちがあります。
子供や小動物に対して全く攻撃性がなく、
敷地を守る気持ちが強いのであまり出歩くこともありません。
そのため、家庭犬や商店の看板犬などにはうってつけです。
ただこういった長所が、半面で
シェットランド・シープドッグの短所になってしまう場合もあります。
従順で、警戒心が強いため、自立心に乏しかったり、臆病になってしまう個体もいます。
臆病な程度ならば家庭犬としては愛すべき個性ともいえますが、
警戒心が強いすぎる個体は無駄吠えをしてしまうこともあります。
また、攻撃する気は毛頭ないのですが、
羊のカカトを噛んで追い込んでいた習性が抜けきれずに、
飼い主や小さな動物を噛もうとする個体もいます。
しかしこういった牧羊犬ならではの短所も、最近ではずいぶん修正されています。
コリーが主人公のアメリカのテレビドラマ「名犬ラッシー」が放映されると、
日本ではコリーのブームが起きました。
しかし、日本の住宅事情では大型犬のコリーは飼育しにくいため、
あっさりコリーブームは過ぎ去りました。
そこで、一躍脚光を浴びたのがシェットランド・シープドッグです。
ラッシーそっくりの姿で飼いやすい小型犬が、
ラッシーに憧れた人たちに受け入れられたのです。
当時は、ラッシーに似たセーブル&ホワイトの
シェットランド・シープドックをあちらこちらでよく見かけました。
ところがブームになると、シェットランド・シープドッグの
無駄吠えの多さが問題になりました。
もともとシェットランド・シープドッグには、警戒心の強い面はありますが、
ブームになったために、過敏に反応して
甲高い声で鳴く個体が繁殖されてしまったのです。
いつの時代も、どの犬種の流行でもいえることですが、
流行っているからといって問題のあるブリードをしてしまうブリーダーが
その犬種の人気を下げることになるのです。
結局、シェットランド・シープドッグの第一次ブームはあえなく終わりました。
しかし最近では、無駄吠えの少ない家庭犬として見直され、
やっとシェットランド・シープドッグ本来の良さが理解されるようになりました。
また、ブラック、セーブル、ホワイトのトライカラーやブルーマールといった
新しいカラーの個体も増え、第二次ブームが起きています。